Katze's Spuren
色んなものが好き勝手に並ぶ空華のブログです.
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愛おしき共犯者 05
必ず「愛おしき共犯者00」をお読みください.
最後の生き残りである直属の上司.
最も身近なこの男を最後まで放置したのは政府との繋がりが今も強いからだ.
「何のためにこんなことを…!お前には散々よくしてやっただろう!?」
「おかしなことを言いはりますね?あんたの業績に俺が貢献したんでしょう」
目が覚めた途端わめき始めた上司を財前は冷めた目で見降ろす.手足をしばられて転がる男は財前が朝から迎えに来たと信じ込み,自ら車に乗り込んできた.手間がはぶけたとういう点では構わないが,上司としては笑えない.
「さて,俺はあんたと違って忙しい身なんで.さっさと答えてもらいましょうか…毒ガスの在り処」
「…なんの話だ」
「はぁ…えぇ加減そのセリフも聞き飽きましたわ.自分の状況わかってます?」
「お前こそわかっているのか?これは犯罪だぞ?」
身の危険よりもプライドの方が勝るのか,男はあくまで威圧的な態度を崩さない.対する財前はため息をつきながら,男の前に携帯用テレビを置いてやる.
意味がわからないままつられて見た画面に映されていたのはメジャーなニュース番組.少し慌てて原稿を読むアナウンサーの左上に表示されていたのは紛れもなく男自身の顔写真だった.
「なっ…」
「これがあんたの状況です.ちなみにリークしたのはついさっき」
「俺に横領容疑…現在行方をくらませて…どういうことだ!?」
犯罪者として追われている男.その男を拘束する財前.理解の及ばない状況で男は必死に財前を見上げる.
「まぁのんびりニュースでも見とってください.俺は“慌てて出社”してきますんで」
「私を置き去りにするつもりか!?」
「優秀な部下が上司を案じて休日出勤.俺,ホンマは休みなんですよ?」
優秀な上司であれば朝の段階で気づけと言外に告げて,財前は屋上を立ち去った.
「では,何か力になれることがあればいつでもご連絡ください」
行方をくらませた上司の代理として上から派遣された数名の役員に退社を告げれば快く送り出される.現段階で可能なかぎりの対応は終わらせた.今日会ったばかりの役員たちだが財前の仕事ぶりには満足したらしい.
「(さて,次は謙也さんの方やな)」
本人はあくまで俺にばれないよう細心の注意をはらって行動したのだろう.けれどどこまでも甘い謙也が財前を欺けるはずがない.いつだって普通の感覚で普通に正しいことを選ぶ謙也.異質な財前の傍にいながら,彼はどこまでも普通だ.
「(俺を警察に突き出して,自分が共犯者として捕まることもわかっとるやろうに)」
昨夜,謙也の電話をうけたのは白石の部下だ.担当刑事は白石だが一般人の情報提供に動くほど暇ではない.財前は謙也のふりをしてもう一度電話をかけ,待ち合わせ時間をはやめておいた.
「(ちょうどえぇ機会か….謙也さんにはもっと自覚してもらわんと)」
財前の計画では謙也が来るまでに殺しておいて,謙也には自分のせいだという罪悪感だけ与えるつもりだった.だが,待ち合わせ場所へ向かう財前の頭の中では別の計画が立てられつつある.
「えぇなぁ…謙也さんに殺してもらうやなんて」
小さくつぶやかれたそれが隠された本音だと,ずっと昔から知っていたのに.
最も身近なこの男を最後まで放置したのは政府との繋がりが今も強いからだ.
「何のためにこんなことを…!お前には散々よくしてやっただろう!?」
「おかしなことを言いはりますね?あんたの業績に俺が貢献したんでしょう」
目が覚めた途端わめき始めた上司を財前は冷めた目で見降ろす.手足をしばられて転がる男は財前が朝から迎えに来たと信じ込み,自ら車に乗り込んできた.手間がはぶけたとういう点では構わないが,上司としては笑えない.
「さて,俺はあんたと違って忙しい身なんで.さっさと答えてもらいましょうか…毒ガスの在り処」
「…なんの話だ」
「はぁ…えぇ加減そのセリフも聞き飽きましたわ.自分の状況わかってます?」
「お前こそわかっているのか?これは犯罪だぞ?」
身の危険よりもプライドの方が勝るのか,男はあくまで威圧的な態度を崩さない.対する財前はため息をつきながら,男の前に携帯用テレビを置いてやる.
意味がわからないままつられて見た画面に映されていたのはメジャーなニュース番組.少し慌てて原稿を読むアナウンサーの左上に表示されていたのは紛れもなく男自身の顔写真だった.
「なっ…」
「これがあんたの状況です.ちなみにリークしたのはついさっき」
「俺に横領容疑…現在行方をくらませて…どういうことだ!?」
犯罪者として追われている男.その男を拘束する財前.理解の及ばない状況で男は必死に財前を見上げる.
「まぁのんびりニュースでも見とってください.俺は“慌てて出社”してきますんで」
「私を置き去りにするつもりか!?」
「優秀な部下が上司を案じて休日出勤.俺,ホンマは休みなんですよ?」
優秀な上司であれば朝の段階で気づけと言外に告げて,財前は屋上を立ち去った.
「では,何か力になれることがあればいつでもご連絡ください」
行方をくらませた上司の代理として上から派遣された数名の役員に退社を告げれば快く送り出される.現段階で可能なかぎりの対応は終わらせた.今日会ったばかりの役員たちだが財前の仕事ぶりには満足したらしい.
「(さて,次は謙也さんの方やな)」
本人はあくまで俺にばれないよう細心の注意をはらって行動したのだろう.けれどどこまでも甘い謙也が財前を欺けるはずがない.いつだって普通の感覚で普通に正しいことを選ぶ謙也.異質な財前の傍にいながら,彼はどこまでも普通だ.
「(俺を警察に突き出して,自分が共犯者として捕まることもわかっとるやろうに)」
昨夜,謙也の電話をうけたのは白石の部下だ.担当刑事は白石だが一般人の情報提供に動くほど暇ではない.財前は謙也のふりをしてもう一度電話をかけ,待ち合わせ時間をはやめておいた.
「(ちょうどえぇ機会か….謙也さんにはもっと自覚してもらわんと)」
財前の計画では謙也が来るまでに殺しておいて,謙也には自分のせいだという罪悪感だけ与えるつもりだった.だが,待ち合わせ場所へ向かう財前の頭の中では別の計画が立てられつつある.
「えぇなぁ…謙也さんに殺してもらうやなんて」
小さくつぶやかれたそれが隠された本音だと,ずっと昔から知っていたのに.
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