うぐいす 1

新カテゴリーmixです．復活とテニプリの混合で高校生です．中学はそれぞれ並盛と立海を卒業してます．
オリキャラは中学時代に氷帝でマネをやってた月城雅（3年）と新入生の九条リナ（1年）のふたり．雅はtennisにあるテニプリと同一人物．その他細かい設定はnoteにあっぷ…できたらいいな(笑)
では興味を持ってくれた奇特な方は（ぇ）つづきをどうぞー

「新入生諸君，うぐいす学園高等部へようこそ」

　うぐいす学園高等部の入学式が行われている体育館．いたって普通な校長挨拶を横目に進行席では不穏な会話が交わされていた．

「隼人はまだ戻らないみたいだね」

「面白そうだから行かせただけでしょ？戻らなくても適当に進めるくせに」

「あたり．雅に嘘はつけないな」

　進行席には３つの椅子が用意されているが，いまは生徒会長の幸村と風紀委員の月城雅だけが座っている．

「私のときみたいに部屋壊してたらどうするのよ」

「あれは失敗だったな．おかげで君を恭弥にとられちゃったし」

「風紀委員になっただけじゃない．生徒会の手伝いも続けてるんだけど？」

　呆れたように言葉を返す雅だが幸村相手にこれほど言葉の応酬を続けられる人間は多くない．

「それは感謝してるよ．まぁ恭弥がいるんだし学校が壊れることは…」

　幸村がさらに何か言おうとした時，爆発音が響いた．

「ねぇ幸？」

「隼人のダイナマイトを骸が弾いちゃったんだろうね」

「あっさり言わないでよ．ところで弾いたのは骸に決定？」

　爆発音でにわかに騒がしくなり始めた体育館の空気を放置して雅が問いかける．

「恭弥は基本的に学校を壊さないし，隼人もそんなに馬鹿じゃないよ」

「なるほど．さて，そろそろ黙らせなきゃね」

　先ほど放置した騒がしさが気に障り始めたらしい．

「物騒だよ，雅」

「いつものことでしょ？会長挨拶よろしく」

　軽い口調で手を振りながら送り出す雅に苦笑しながら幸村は壇上へ向かう．気づいた校長はそそくさと場所をゆずった．

「はじめまして，生徒会長の幸村です．さっきみたいなのは日常茶飯事だから気にしないでね」

　柔らかな笑顔と穏やかな口調で告げられた言葉は一瞬で体育館を静寂で満たした．しかし長く続くと思われた冷たい空気は扉の開閉音によってあっさりと砕かれる．

「おかえり，恭弥」

　雅は当たり前のように声をかけたが，学ラン姿の雲雀は完璧に浮いていた．

「彼は風紀委員長の雲雀恭弥．後で挨拶してもらうからね」

　笑顔の幸村から「今は放っておけ」と言わんばかりの圧力を感じ，新入生は大人しく壇上へと視線を戻す．幸村のつくってくれた猶予を利用して雅は雲雀に現場報告を求めた．

「女子寮が壊れた」

「最悪」

　予想していたとはいえ，諦めがつくわけではない．不機嫌さを露わにしながら先を促す．

「骸は咬み殺した．獄寺は片づけ中．手が離せないから渡してくれって頼まれた」

　学校が壊れたことで雲雀の機嫌も悪いらしい．ふてくされた顔で部屋番号と入寮予定者の名前が書かれたメモを渡す．

「私が苦労して空けた部屋を壊してくれたわけね」

　書かれていたのは最終締め切り直前で増えた入寮希望者のために，雅が調整を重ねて用意した部屋だった．

「恭弥，諸注意は任せていいのかな？」

「いいけど，面倒だからここで喋るよ．必要以上に群れてるやつは咬み殺すから．あと，僕の学校を傷つけたら問答無用で咬み殺す」

　言葉の意味だけを考えれば笑われてもおかしくない内容だが，体育館の空気は恐怖で一気に冷たくなっている．平然と微笑んでいるのは幸村と雅だけだ．

「やっぱり本人からの忠告が一番だよね．じゃあそろそろ終わろうか．雅，今後の指示を」

「新入生の皆さんは引率者に従って寮へ向かってください．部屋の鍵と荷物を受け取ったら夕食を兼ねたオリエンテーションまで自由時間とします」

　雲雀と幸村の言動に全く反応を示さない雅に対して新入生たちは「何者？」という視線を向けている．雅はそれに気付きながらも素知らぬ顔で連絡事項の伝達を続ける．

「先ほどの爆発で女子寮の一部が破損しているので付近を通る際は注意してください．また，この件に関して伝えたいことがあるので“九条リナ”さんは進行席まで来てください．以上です」

　入学早々呼び出された不幸な生徒を残して，他の新入生たちは体育館を後にした．