Katze's Spuren
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親友+後輩
「何で謙也さんは部長とおるんすか?」
最近,ダブルスを組み始めた財前がいきなりそんなことを言うてきた.
実力はあるけど無愛想.普通に後輩のはずやねんけど…なんかちゃうねんなぁ.
「何でて,好きやからちゃうん」
「…」
「とりあえずその冷たい瞳やめや.ちゅーか何が聞きたいねん」
こいつ,目つき悪っ.白石も怖いけど,キツイ感じにならんのは美形やからか.
「はぁ…せやから,何であんたみたいな人が部長の隣に居るんか聞いとるんです」
「なんや,白石のこと好きなんか?」
「しばきますよ」
いやいや,今の発言はどう考えてもそうやろ!?
ちゅーか久々に言われたわ.最近は無いけど1年の時とかめっちゃ女子に言われとったなー.
「で,何で部長なん?」
「せやなぁ….白石って何でもできるし,イケメンやし,部長やし,完璧やん?」
「まぁウチの”聖書”言われとりますし」
白石=完璧っちゅーのはもう完全にできあがっとる.生意気なこいつでさえ認めるんやから本物や.
「けど,俺にとって白石は白石でしかないねん」
「…ヘタレやのに大きくでましたね」
「ヘタレちゃうわ!アイツはホンマに凄いけどアホなこともするし,全部ひっくるめて白石やん.
俺とは全然ちゃうけど,そんな白石が好きやねん」
おー,意味分からんって顔に書いてあるわ.どう説明せぇっちゅーねん.
「謙也さんは俺や部長と違うってわかっとるんやろ?やのに一緒に居って嫌にならんのですか」
「さらっと自分は白石に並べたな.確かにお前も”天才”言われとるけど,白石は簡単に越えられへんでー?」
「誰もそんなん聞いてへんわ」
何や怒っとる…?
「とりあえず嫌やとか思うくらいやったら一緒に居らん.せやからお前のことも好きやで?」
今度は変な顔しとる.ダブルスパートナーやし当たり前やろ.
「こら謙也.コート入らんといつまで休憩しとん」
「つい話こんでしもてなぁ.何で俺が白石と一緒に居るんかわからんらしいわ」
「ほぉ…?」
ダブルスの話せんとそんな話しとったんかい!せやけどちょお気になるな….
「で,なんて答えたん?」
「ん?好きやから」
いったいどこで間違えたらヘタレな男前ができんねん.あ,俺は慣れとるけど財前は免疫ないんとちゃうん.
「謙也,ユウジと練習してき.真面目にやらな基礎練メニュー倍やで」
「いきなり酷っ!あ,ほな白石は俺の代わりに休憩しときや?」
「いやいや,俺の休憩時間も終わっとるし」
「後輩指導で潰れとったやん.財前,ちゃんと白石休ませるんやでー」
また不意打ちで男前発揮していきよった….ホンマ謙也には敵わんわ.
それにしても相変わらず速いなぁ.コート入るくらいの距離やったら走らんでえぇのに.
「部長と謙也さんって付き合うてるんすか?」
「いきなりやな.とりあえず俺と謙也はそういうんちゃうで」
「…」
信用してへんなぁ….謙也が誤解を招く発言するからアカンのや.
「確かに謙也は俺のこと好きやし,俺も謙也が好きや.けど,イコール恋愛ではないな」
「いちいち発言がズレとんのは天然ですか…」
「せやで.謙也は天然ヘタレな男前っちゅー変な奴やからなぁ」
さっきまでピリピリしとったのに今の一言で脱力したな.
「ダブルス嫌がっとったけど,謙也とやったらやれるやろ?」
「ある意味やっていけん気がしますけど」
「慣れたら気にならんて.お前と固定で組める奴なんか他に居らんからな」
銀も小石川も居るけどパートナーとしてやっていけるんは謙也だけやろ.あいつは特別やからなぁ.
「完璧が売りの部長がそんなん言うてえぇんすか?」
「俺は謙也みたいに優しないからな.お前もそれに関しては俺に近いはずや.
せやから謙也のことが理解できんで,俺を例えに何で一緒に居るんか聞いたんやろ?」
図星指されて驚いとるな.”聖書”なめたらアカンで?
「じゃあ逆に聞きますけど,部長は嫌にならんのですか.自分と違いすぎて腹立ちません?」
「俺とちゃうんからえぇねん.あ,それに謙也は俺のこと好きやし」
謙也はみんなに優しいけど俺には特別優しいからなー.
「あの人,俺にも好き言うてましたけど」
「まぁ謙也やしなぁ」
「そっすね.何かやっと納得しました」
何か微妙に笑ってへんか…?
「謙也さんにとって白石部長が特別っちゅーわけやないんですね」
「…気になる言い方するな」
いったい,何が言いたいねん.
「あくまで謙也さんと部長は親友で,恋人やないんでしょ?」
「親友は特別やろ」
「そうやとしても,恋人とはカテゴリ違い過ぎて話になりませんわ」
それでも親友ないがしろになんか…ちょお待て.これめっちゃマズイ流れとちゃうん.
「なぁ,財前.何やめっちゃ嫌な予感するんやけど気のせいやんな?」
「謙也さん,俺のもんにしますんで」
こいつ堂々と宣言しよった…!
「アカン!謙也はやらん!」
「呼んだかー?」
「あぁ,謙也さんちょうどえぇわ」
「ん?」
キリえぇから戻ってきたのに何や変な空気やなぁ.
「謙也さんって愛でるより愛でられたいタイプやんな?」
「は?」
「ちゃうわ!謙也は俺のことめっちゃ大事にしてくれるんや!」
よぉわからんけど,白石が彼女みたいやなぁ.
「ほな質問かえましょ.俺と部長,どっちがカッコえぇ?」
「いったい,何の勝負やねん」
「えぇから答えてください」
今日は質問されてばっかりやな.はよ答えて練習戻ったろ.
「せやなぁ,カッコえぇんは財前.白石は美人っちゅー方がしっくりくるわ」
「美人ねぇ…?」
「うっ…」
白石が押されとる?ホンマに何の話やねん.
「謙也さん,本気でいきますから楽しみにしとってくださいね」
「テニスの話か?よぉわからんけど期待してんで!」
「(白石もついに謙也離れか!)」
「(でも,そうなるとケン坊が大変ねぇ)」
「(怖いこと言わんといてや…)」