Katze's Spuren
色んなものが好き勝手に並ぶ空華のブログです.
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picaresqueⅠ
ぴかれすくイメージでやった前半です!こっちは微妙にシリアスパート
「…またっすか」
「そんな嫌そうに言うなや!冷たいやっちゃなぁ」
昼飯を持って屋上に上がると,ふわふわした金髪が俺を出迎える.思わずぼやいたのは同じ光景がここ数日続いているからだ.
「何で毎日俺のとこ来るんすか.教室で食うたらえぇでしょ」
「んー?まぁえぇやん.気分や気分」
「気分ねぇ…」
得意の笑顔でごまかす謙也さん.最近,この笑顔を見るとイライラする.
「謙也さんて誰のために笑ろてるん?」
「またお前はようわからんことを…」
「目の前におる俺?それとも部長?」
問いかけを無視して言葉を重ねれば笑顔が少し歪む.作り物の笑顔より,こっちの方が好みだ.
それなのに謙也さんは必死で取り繕って言葉を探す.ふとした仕草が,呼吸が,俺を伺うみたいで気に入らない.
「そんなに気づかれるんが怖い?」
「ホンマ,何言うてんのかわからん」
俺の視線から逃れるように目を逸らす謙也さん.この人は誤魔化すのも嘘をつくのも下手すぎる.
「俺のとこ来るんは部長がおらんからやろ.恋人できましたもんね」
「…っ」
今度こそ謙也さんの瞳が揺らぐ.部長の幸せを妬むような人ではないから,純粋に寂しいのだろう.
それで俺のところにくるのは構わない.気に入らないのは,自分の感情から逃げて立ち竦んでいることだ.
「俺は部長の代わりなんかしませんよ」
「そんなつもりとちゃう!」
どこか必死に訴える謙也さん.違うのは知っているし,何に戸惑っているのかも理解している.
いい加減,その無自覚な本心を引きずり出してやりたい.
「(…壊したいっちゅー方が正しいか)」
自分のもとに引き込んで壊れるくらい愛してみたい.俺の隣で,もっと綺麗に笑ってほしい.
「自分で動かれへんのやったら,俺が壊したりますよ」
相手を想うだけが,愛情だとは言わせない.
「んっ…!」
物騒な宣言の直後,壁に押し付けられ苦しいほどの口づけを落とされる.微妙に体重をかけられている俺は色々と不利だ.
「部長を想って,寂しいん我慢して.そんなん無意味やろ」
キスの合間に囁かれる残酷な言葉.こいつはいつだって,真っすぐに俺を見据える.
「そんなこと,あらへん」
一緒に見てきたこと,交わした言葉.俺は楽しくて幸せだった.だから,俺のせいであいつを困らせたくない.
息を整えてなんとか答えてやれば不満そうな視線を向けられる.
「ふぅん」
「痛っ…」
首筋に感じる小さな痛み.本当にこいつは何がしたいのか.
「お前っ,さっきから何しとんねん!」
「嫌なん?」
「そういう問題とちゃうやろ!何で俺にキスとか…!」
しれっと問いかけてくる財前にムカついて思わず怒鳴りつけた.体勢のせいで見下ろされているのも気に入らない.
「あぁ,好きなんすわ」
「…は?」
「謙也さんが好きなんです.せやから,無理に笑うあんたなんか見たないねん」
吐き捨てるように告げられた言葉は俺の理解を超えていて.何かを刻むように触れてくる手がさらに思考を奪う.
「その寂しさは間違いやないですよ.あんたにとって白石部長は“親友”なんやから」
それは見えていなかった現実.あいつが好きで一緒にいるのが当たり前だった.ただ,その感情が何なのか考えなかっただけで.
「もうえぇやないですか.いい加減,ちゃんと俺のこと見てや」
財前の瞳が,言葉が突き刺さる.ちっとも優しくないのに囚われる.
その理由はきっと逃げている感情と同じもので.
「…ちゃんとってなんやねん.ダブルスパートナーやろ,お前は」
それでもまだ,この感情は認められない.
目をそらして告げられたのは当たり前の関係.俺が欲しいのはそんな言葉じゃないのに.
「謙也さんに変わってほしい訳やないけどな…」
まして自分が変わるつもりもない.好きなのは今の謙也さんで,だからこそ今の自分がいる.
「そのままじゃ困るんすわ.好きなんは部長で,俺はただのダブルスパートナー?
あんた,その程度の相手にここまで許すんや」
「それ,は…」
さっきつけた痕を指でなぞれば顔を真っ赤にして見上げてくる.嫌悪も拒絶も示さない癖に,その理由からは逃げる.
「(ホンマ,よう耐えたな俺)」
曖昧な状況にイラついても追い詰めなかったのは,謙也さんが幸せそうに笑っていたから.
部長がいて俺がいて,たったそれだけで幸せだと笑う純粋で幼い謙也さん.彼の幸せな“今日”を自分から壊すのは躊躇われた.
でも,それが崩れたのなら“明日”へ引きずり出しても構わないはずだ.
「あんたのハジメテは全部俺が教えたります.せやから,大人しく認めてくれません?」
「なっ…おまっ…何を認めろっちゅーねん!」
「往生際の悪い人やな.あんたが好きなんは部長やのうて俺やろ?」
勘違いだとは言わせない.部長が“親友”だと気づいたときに俺への気持ちも自覚したはずだ.
というか自分の行動理由くらい自分で把握してほしい.
「アホぬかせ!俺がお前を好きやとか,そんなん…っ」
本当に往生際が悪い.羞恥と動揺で潤んだ目元にそっと口づければ,ぴたりと反論が止む.
そのまま耳元へと唇を滑らせてもやはり抵抗はない.
「俺のこと好きやって認めるんやったら…」
低く侵すような声音と,これ以上ないほどの甘さで最後のとどめを刺しておく.
「死ぬほど綺麗に生かしたりますよ,謙也さん」
感じて溶けて,その全てを俺にみせて?
「そんな嫌そうに言うなや!冷たいやっちゃなぁ」
昼飯を持って屋上に上がると,ふわふわした金髪が俺を出迎える.思わずぼやいたのは同じ光景がここ数日続いているからだ.
「何で毎日俺のとこ来るんすか.教室で食うたらえぇでしょ」
「んー?まぁえぇやん.気分や気分」
「気分ねぇ…」
得意の笑顔でごまかす謙也さん.最近,この笑顔を見るとイライラする.
「謙也さんて誰のために笑ろてるん?」
「またお前はようわからんことを…」
「目の前におる俺?それとも部長?」
問いかけを無視して言葉を重ねれば笑顔が少し歪む.作り物の笑顔より,こっちの方が好みだ.
それなのに謙也さんは必死で取り繕って言葉を探す.ふとした仕草が,呼吸が,俺を伺うみたいで気に入らない.
「そんなに気づかれるんが怖い?」
「ホンマ,何言うてんのかわからん」
俺の視線から逃れるように目を逸らす謙也さん.この人は誤魔化すのも嘘をつくのも下手すぎる.
「俺のとこ来るんは部長がおらんからやろ.恋人できましたもんね」
「…っ」
今度こそ謙也さんの瞳が揺らぐ.部長の幸せを妬むような人ではないから,純粋に寂しいのだろう.
それで俺のところにくるのは構わない.気に入らないのは,自分の感情から逃げて立ち竦んでいることだ.
「俺は部長の代わりなんかしませんよ」
「そんなつもりとちゃう!」
どこか必死に訴える謙也さん.違うのは知っているし,何に戸惑っているのかも理解している.
いい加減,その無自覚な本心を引きずり出してやりたい.
「(…壊したいっちゅー方が正しいか)」
自分のもとに引き込んで壊れるくらい愛してみたい.俺の隣で,もっと綺麗に笑ってほしい.
「自分で動かれへんのやったら,俺が壊したりますよ」
相手を想うだけが,愛情だとは言わせない.
「んっ…!」
物騒な宣言の直後,壁に押し付けられ苦しいほどの口づけを落とされる.微妙に体重をかけられている俺は色々と不利だ.
「部長を想って,寂しいん我慢して.そんなん無意味やろ」
キスの合間に囁かれる残酷な言葉.こいつはいつだって,真っすぐに俺を見据える.
「そんなこと,あらへん」
一緒に見てきたこと,交わした言葉.俺は楽しくて幸せだった.だから,俺のせいであいつを困らせたくない.
息を整えてなんとか答えてやれば不満そうな視線を向けられる.
「ふぅん」
「痛っ…」
首筋に感じる小さな痛み.本当にこいつは何がしたいのか.
「お前っ,さっきから何しとんねん!」
「嫌なん?」
「そういう問題とちゃうやろ!何で俺にキスとか…!」
しれっと問いかけてくる財前にムカついて思わず怒鳴りつけた.体勢のせいで見下ろされているのも気に入らない.
「あぁ,好きなんすわ」
「…は?」
「謙也さんが好きなんです.せやから,無理に笑うあんたなんか見たないねん」
吐き捨てるように告げられた言葉は俺の理解を超えていて.何かを刻むように触れてくる手がさらに思考を奪う.
「その寂しさは間違いやないですよ.あんたにとって白石部長は“親友”なんやから」
それは見えていなかった現実.あいつが好きで一緒にいるのが当たり前だった.ただ,その感情が何なのか考えなかっただけで.
「もうえぇやないですか.いい加減,ちゃんと俺のこと見てや」
財前の瞳が,言葉が突き刺さる.ちっとも優しくないのに囚われる.
その理由はきっと逃げている感情と同じもので.
「…ちゃんとってなんやねん.ダブルスパートナーやろ,お前は」
それでもまだ,この感情は認められない.
目をそらして告げられたのは当たり前の関係.俺が欲しいのはそんな言葉じゃないのに.
「謙也さんに変わってほしい訳やないけどな…」
まして自分が変わるつもりもない.好きなのは今の謙也さんで,だからこそ今の自分がいる.
「そのままじゃ困るんすわ.好きなんは部長で,俺はただのダブルスパートナー?
あんた,その程度の相手にここまで許すんや」
「それ,は…」
さっきつけた痕を指でなぞれば顔を真っ赤にして見上げてくる.嫌悪も拒絶も示さない癖に,その理由からは逃げる.
「(ホンマ,よう耐えたな俺)」
曖昧な状況にイラついても追い詰めなかったのは,謙也さんが幸せそうに笑っていたから.
部長がいて俺がいて,たったそれだけで幸せだと笑う純粋で幼い謙也さん.彼の幸せな“今日”を自分から壊すのは躊躇われた.
でも,それが崩れたのなら“明日”へ引きずり出しても構わないはずだ.
「あんたのハジメテは全部俺が教えたります.せやから,大人しく認めてくれません?」
「なっ…おまっ…何を認めろっちゅーねん!」
「往生際の悪い人やな.あんたが好きなんは部長やのうて俺やろ?」
勘違いだとは言わせない.部長が“親友”だと気づいたときに俺への気持ちも自覚したはずだ.
というか自分の行動理由くらい自分で把握してほしい.
「アホぬかせ!俺がお前を好きやとか,そんなん…っ」
本当に往生際が悪い.羞恥と動揺で潤んだ目元にそっと口づければ,ぴたりと反論が止む.
そのまま耳元へと唇を滑らせてもやはり抵抗はない.
「俺のこと好きやって認めるんやったら…」
低く侵すような声音と,これ以上ないほどの甘さで最後のとどめを刺しておく.
「死ぬほど綺麗に生かしたりますよ,謙也さん」
感じて溶けて,その全てを俺にみせて?
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