Katze's Spuren
色んなものが好き勝手に並ぶ空華のブログです.
カテゴリから選択して閲覧することをオススメします.
作品は版権元や関係者様と全く関係ありません.
[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
picaresqueⅡ
ぴかれすく後半です.こっちはほのぼのパート
なんか親友+後輩のオチみたいになった
なんか親友+後輩のオチみたいになった
「(なんや,謙也のやつまだ戻ってないんか)」
最近,謙也と一緒にいる時間が少なくなった.クラスではいつも通り一緒に行動しているが,昼休みはふらりといなくなる.
俺のことを気遣ってくれているのに,寂しいと思う俺は相当わがままだ.
「白石!」
「おかえり,謙也.何でもえぇけど,迷惑やから静かにしぃ」
「あ,すまん」
かなり焦った様子で戻ってきた癖に,俺の一言で大人しくなった.
服が肌蹴るほど走ってきたらしいのに息が乱れていないのは流石だ.
「で,どないしてん.“白石すきやー”っちゅうのは聞き飽きたで?」
「飽きたん!?…ってそうやないねん!あぁいや,お前のことは好きやけど」
慌ててみたり,普通にそんなことを言ってみたり.周りはネタだと思っているが,謙也はいつだって真剣だ.
変わらず好きだと言ってくれる謙也に安堵する俺は本当にずるい.
柔らかな瞳から視線を外すと肌蹴た首元に見慣れないものを見つけた.
「謙也,首のとこ…」
「…っ!」
「あー,とりあえず場所変えよか」
次が自習なのを良いことにふたりで教室を出た.
髪色はともかく,俺も謙也も素行はいいし図書室へ行っていたとでも言えば問題ない.
「(それにしても,赤面した謙也を見ることになるとはなぁ)」
ヘタレだ天然だと言っていても,俺にとって謙也は誰より頼れる存在だ.
先輩を差し置いて部長になった時も,全国準決勝で敗退した時もずっと側にいてくれたから.
「あんな,俺ずっとおまえのこと好きやってん」
適当な空き教室に入り,妙な感慨に浸っていると謙也が少しずつ話はじめた.
「それは絶対嘘やない.けど,付き合うとかそういう好きとちゃうかった」
苦しそうに思いを語る謙也.その真っすぐさに思わず笑ってしまう.
「なっ…なんで笑うねん!」
「謙也がアホやから」
「はぁ!?」
「そんなん,とっくの昔に知っとるっちゅー話や」
わざと謙也の口癖を真似て答えると,ぽかんとした顔で俺を見つめてきた.
人の機微には敏いくせに,どうしてこんなにアホの子なのか.
見返りを求めない純粋な感情だからこそ,俺は何より救われたというのに.
「まぁ謙也やったら付き合うんもアリやけど,俺らはずっと“親友”やろ.
それより何で俺の話なん?財前に告られたんやろ?」
「なっ,何で知っとんねん!」
「お前にそんなん付けるん財前くらいや」
首元の痕を指して言い放つ.我ながら恥ずかしいことを言った気がするので,さっさと本題へ移すことにした.
「あいつ,俺のこと好きや言うてん」
「告白と手ぇ出すんが同時なんはあいつらしいな」
「しかも,俺が好きなんは財前やって」
困惑した表情で語られる告白劇.俺が謙也と過ごしていない数日間,ずっと一緒にいたのだとしたら財前もよく耐えた方だろう.
「ずっと財前のことダブルスパートナーとしか見てなかってん.
毒舌やけど優しいし,ちゃんと周りのこと考えとるし…好き,なんやけど」
謙也が財前を意識していなかったのは俺がいたから.いつだって俺を思ってくれる謙也に甘えていた俺のせい.
だから,財前に少しだけ助け船を出してやる.
「ゆっくりでえぇから考えたり.時間かかっても,無かったことにしたらアカンで?」
「それは,わかっとる.ホンマはもう,わかっとんねん」
「まぁ焦らんでえぇやん.俺はずっと謙也の味方やから」
「おおきに!やっぱり俺,白石のこと好きやわ」
そう言って笑う謙也は変わらず俺を見ていてくれる.やっぱり財前にとられるのは悔しいから,ここで内緒の宣戦布告.
「俺も好きやで,謙也」
強くて優しい陽だまりは俺の特等席だから.
白石部長あたりに相談して落ち着いたのか,謙也さんはいつも通り部活にやってきた.
その様子が少し気に入らなくて背後から声をかける.
「謙也さーん」
「なっ何や!?」
「どもり過ぎっすわ.別にコートで手ぇ出したりしませんよ」
前言撤回.いつも通りなのは見た目だけで,期待していた以上に意識しているらしい.
「あぁ,まだ口説かれたいん?」
「ちゃうわアホ!」
「謙也!はよコート入らな,ユウジが小春んとこ行ってまうで?」
からかって遊んでいたのに,謙也さんの意識は完全に部長へ向かう.
「へ?あー!忘れとった!財前,お前知っとったやろ!?」
「謙也さんが話聞かんかっただけでしょ.あ,しょーもない試合したらダブルス解消しますんで」
「…わかりにくい応援やなぁ」
溜息をつきながら俺を見る部長の目が母親みたいで腹が立つ.部長が母親面するのは遠山だけで十分だ.
「何をどうしたらそうなんねん.謙也さんも調子のらんと…謙也さん?」
「頑張るから,ちゃんと見といてや?」
「…っ!」
俺の動揺にも気付かず謙也さんはコートへ駆けていく.隣で手を振る部長の口元には堪え切れない笑みが浮かんでいる.
「謙也のやつ,お前にはあんな顔すんねんなぁ」
「あれで無自覚とか,ホンマにタチ悪いっすわ…」
あんな溶けるような顔をして,どこまで俺を煽れば気が済むのか.
「財前が応援しとるって,俺に言われて嬉しかったんやろ」
「さり気なく自己主張せんといてください」
「これくらいえぇやろ.これから嫌っちゅうほど独占する癖に」
どうやら俺が謙也さんを手に入れることに反対はしないらしい.
それでも簡単に独占させてはくれないと知っているから,これは俺からの宣戦布告.
「当たり前っすわ.あの人を幸せにするんは俺なんで」
綺麗で優しい温もりは俺のものだから.
財前の爆弾告白があった翌日.俺は返事をするために屋上へ上がり,財前を待っていた.
改めて考えると屋上ではずっと財前のことを考えていた気がする.
「(何ぼ考えても出てくる答えは一緒やったのにな)」
生意気で毒舌でポーカーフェイス.でも本当は優しくて,誰より俺を見ていてくれる.
「(やから,白石みたいになってほしいとは思わん)」
俺が好きになったのは今の財前で,それに気づいた俺は何も変わらない.
今はダブルスパートナーというだけで一緒にいられる.でも,そんなものが無くても繋がっていたい.
その理由が,きっと財前の求めている答え.
「(あーでもどないしよ….あいつのこと好きやって自覚したらめっちゃ恥ずい)」
まさか自分がこんなに鈍いとは思わなかった.白石まで知っていた財前の気持ちに,俺はこれっぽっちも気付けなかったのだ.
それどころか自分の気持ちも知らなかったなんて.
「ホンマにアホやんか…」
「そんなん今さらっすわ」
「なっ…お前,どっから出てきてん!」
今日一日でどれだけこいつに驚かされたかわからない.あと,いきなり綺麗な顔をアップにするのは心臓に悪いからやめてほしい.
「で?認める覚悟はできたん?」
「覚悟?」
「俺を好きやって認めて,どろどろに愛される覚悟」
射抜くような鋭い瞳.突き付けられた最終通告.逃がす気なんて少しもないくせに,こいつはどこまでもずるい.
「覚悟とか言われても知らん.けど,財前のこと好きや」
「ホンマにアホやなぁ….でもまぁそんなトコもひっくるめて好きですよ,謙也さん」
そう言って優しく,けれど逃がさないようにしっかりと抱きしめられる.
今までの後悔も,これからの不安も,今はどうだっていい.ただ,この幸せに溶けていたい.
「おめでとーさん,と言いたいトコやけど…やっぱり謙也はやりたないなぁ」
「あ,白石」
「は?」
吹き飛んだ甘い雰囲気の代わりに聞きなれた声と重みがのしかかる.
白石は突然現れても平気だ.不意打ちでなければアップにも耐えられる,多分.
「白石も昼飯食いにきたん?とりあえず日陰入りや」
「おーきに.やっぱり謙也は優しいなぁ」
「ちょお待てや」
「「ん?」」
過ごしやすい日陰の場所を白石に譲っていると,財前が不機嫌な顔で睨みつけてきた.
隙をついて腕を抜け出したのが気に入らないのだろうか.
「何ナチュラルに昼飯食おうとしてんねん.ちゅーか部長はどっから出てきてん!」
「昼休み=恋人たちの時間ってわけでもないやんなー」
「なー」
「せやから,あんたは何で部長の味方やねん!!!」
やっぱりよくわからないが,白石と財前は俺を放置してふたりでケンカを始めた.といってもじゃれ合いなので俺も止めない.
「(白石がおって,財前がおって.やっぱり幸せやな)」
好きの種類が違っても大切なのは本当だ.それなら,今この瞬間を焼き付けていけばいい.
「白石!財前!ふたりとも好きやでー!」
だから,ずっとずっと笑っていよう?
最近,謙也と一緒にいる時間が少なくなった.クラスではいつも通り一緒に行動しているが,昼休みはふらりといなくなる.
俺のことを気遣ってくれているのに,寂しいと思う俺は相当わがままだ.
「白石!」
「おかえり,謙也.何でもえぇけど,迷惑やから静かにしぃ」
「あ,すまん」
かなり焦った様子で戻ってきた癖に,俺の一言で大人しくなった.
服が肌蹴るほど走ってきたらしいのに息が乱れていないのは流石だ.
「で,どないしてん.“白石すきやー”っちゅうのは聞き飽きたで?」
「飽きたん!?…ってそうやないねん!あぁいや,お前のことは好きやけど」
慌ててみたり,普通にそんなことを言ってみたり.周りはネタだと思っているが,謙也はいつだって真剣だ.
変わらず好きだと言ってくれる謙也に安堵する俺は本当にずるい.
柔らかな瞳から視線を外すと肌蹴た首元に見慣れないものを見つけた.
「謙也,首のとこ…」
「…っ!」
「あー,とりあえず場所変えよか」
次が自習なのを良いことにふたりで教室を出た.
髪色はともかく,俺も謙也も素行はいいし図書室へ行っていたとでも言えば問題ない.
「(それにしても,赤面した謙也を見ることになるとはなぁ)」
ヘタレだ天然だと言っていても,俺にとって謙也は誰より頼れる存在だ.
先輩を差し置いて部長になった時も,全国準決勝で敗退した時もずっと側にいてくれたから.
「あんな,俺ずっとおまえのこと好きやってん」
適当な空き教室に入り,妙な感慨に浸っていると謙也が少しずつ話はじめた.
「それは絶対嘘やない.けど,付き合うとかそういう好きとちゃうかった」
苦しそうに思いを語る謙也.その真っすぐさに思わず笑ってしまう.
「なっ…なんで笑うねん!」
「謙也がアホやから」
「はぁ!?」
「そんなん,とっくの昔に知っとるっちゅー話や」
わざと謙也の口癖を真似て答えると,ぽかんとした顔で俺を見つめてきた.
人の機微には敏いくせに,どうしてこんなにアホの子なのか.
見返りを求めない純粋な感情だからこそ,俺は何より救われたというのに.
「まぁ謙也やったら付き合うんもアリやけど,俺らはずっと“親友”やろ.
それより何で俺の話なん?財前に告られたんやろ?」
「なっ,何で知っとんねん!」
「お前にそんなん付けるん財前くらいや」
首元の痕を指して言い放つ.我ながら恥ずかしいことを言った気がするので,さっさと本題へ移すことにした.
「あいつ,俺のこと好きや言うてん」
「告白と手ぇ出すんが同時なんはあいつらしいな」
「しかも,俺が好きなんは財前やって」
困惑した表情で語られる告白劇.俺が謙也と過ごしていない数日間,ずっと一緒にいたのだとしたら財前もよく耐えた方だろう.
「ずっと財前のことダブルスパートナーとしか見てなかってん.
毒舌やけど優しいし,ちゃんと周りのこと考えとるし…好き,なんやけど」
謙也が財前を意識していなかったのは俺がいたから.いつだって俺を思ってくれる謙也に甘えていた俺のせい.
だから,財前に少しだけ助け船を出してやる.
「ゆっくりでえぇから考えたり.時間かかっても,無かったことにしたらアカンで?」
「それは,わかっとる.ホンマはもう,わかっとんねん」
「まぁ焦らんでえぇやん.俺はずっと謙也の味方やから」
「おおきに!やっぱり俺,白石のこと好きやわ」
そう言って笑う謙也は変わらず俺を見ていてくれる.やっぱり財前にとられるのは悔しいから,ここで内緒の宣戦布告.
「俺も好きやで,謙也」
強くて優しい陽だまりは俺の特等席だから.
白石部長あたりに相談して落ち着いたのか,謙也さんはいつも通り部活にやってきた.
その様子が少し気に入らなくて背後から声をかける.
「謙也さーん」
「なっ何や!?」
「どもり過ぎっすわ.別にコートで手ぇ出したりしませんよ」
前言撤回.いつも通りなのは見た目だけで,期待していた以上に意識しているらしい.
「あぁ,まだ口説かれたいん?」
「ちゃうわアホ!」
「謙也!はよコート入らな,ユウジが小春んとこ行ってまうで?」
からかって遊んでいたのに,謙也さんの意識は完全に部長へ向かう.
「へ?あー!忘れとった!財前,お前知っとったやろ!?」
「謙也さんが話聞かんかっただけでしょ.あ,しょーもない試合したらダブルス解消しますんで」
「…わかりにくい応援やなぁ」
溜息をつきながら俺を見る部長の目が母親みたいで腹が立つ.部長が母親面するのは遠山だけで十分だ.
「何をどうしたらそうなんねん.謙也さんも調子のらんと…謙也さん?」
「頑張るから,ちゃんと見といてや?」
「…っ!」
俺の動揺にも気付かず謙也さんはコートへ駆けていく.隣で手を振る部長の口元には堪え切れない笑みが浮かんでいる.
「謙也のやつ,お前にはあんな顔すんねんなぁ」
「あれで無自覚とか,ホンマにタチ悪いっすわ…」
あんな溶けるような顔をして,どこまで俺を煽れば気が済むのか.
「財前が応援しとるって,俺に言われて嬉しかったんやろ」
「さり気なく自己主張せんといてください」
「これくらいえぇやろ.これから嫌っちゅうほど独占する癖に」
どうやら俺が謙也さんを手に入れることに反対はしないらしい.
それでも簡単に独占させてはくれないと知っているから,これは俺からの宣戦布告.
「当たり前っすわ.あの人を幸せにするんは俺なんで」
綺麗で優しい温もりは俺のものだから.
財前の爆弾告白があった翌日.俺は返事をするために屋上へ上がり,財前を待っていた.
改めて考えると屋上ではずっと財前のことを考えていた気がする.
「(何ぼ考えても出てくる答えは一緒やったのにな)」
生意気で毒舌でポーカーフェイス.でも本当は優しくて,誰より俺を見ていてくれる.
「(やから,白石みたいになってほしいとは思わん)」
俺が好きになったのは今の財前で,それに気づいた俺は何も変わらない.
今はダブルスパートナーというだけで一緒にいられる.でも,そんなものが無くても繋がっていたい.
その理由が,きっと財前の求めている答え.
「(あーでもどないしよ….あいつのこと好きやって自覚したらめっちゃ恥ずい)」
まさか自分がこんなに鈍いとは思わなかった.白石まで知っていた財前の気持ちに,俺はこれっぽっちも気付けなかったのだ.
それどころか自分の気持ちも知らなかったなんて.
「ホンマにアホやんか…」
「そんなん今さらっすわ」
「なっ…お前,どっから出てきてん!」
今日一日でどれだけこいつに驚かされたかわからない.あと,いきなり綺麗な顔をアップにするのは心臓に悪いからやめてほしい.
「で?認める覚悟はできたん?」
「覚悟?」
「俺を好きやって認めて,どろどろに愛される覚悟」
射抜くような鋭い瞳.突き付けられた最終通告.逃がす気なんて少しもないくせに,こいつはどこまでもずるい.
「覚悟とか言われても知らん.けど,財前のこと好きや」
「ホンマにアホやなぁ….でもまぁそんなトコもひっくるめて好きですよ,謙也さん」
そう言って優しく,けれど逃がさないようにしっかりと抱きしめられる.
今までの後悔も,これからの不安も,今はどうだっていい.ただ,この幸せに溶けていたい.
「おめでとーさん,と言いたいトコやけど…やっぱり謙也はやりたないなぁ」
「あ,白石」
「は?」
吹き飛んだ甘い雰囲気の代わりに聞きなれた声と重みがのしかかる.
白石は突然現れても平気だ.不意打ちでなければアップにも耐えられる,多分.
「白石も昼飯食いにきたん?とりあえず日陰入りや」
「おーきに.やっぱり謙也は優しいなぁ」
「ちょお待てや」
「「ん?」」
過ごしやすい日陰の場所を白石に譲っていると,財前が不機嫌な顔で睨みつけてきた.
隙をついて腕を抜け出したのが気に入らないのだろうか.
「何ナチュラルに昼飯食おうとしてんねん.ちゅーか部長はどっから出てきてん!」
「昼休み=恋人たちの時間ってわけでもないやんなー」
「なー」
「せやから,あんたは何で部長の味方やねん!!!」
やっぱりよくわからないが,白石と財前は俺を放置してふたりでケンカを始めた.といってもじゃれ合いなので俺も止めない.
「(白石がおって,財前がおって.やっぱり幸せやな)」
好きの種類が違っても大切なのは本当だ.それなら,今この瞬間を焼き付けていけばいい.
「白石!財前!ふたりとも好きやでー!」
だから,ずっとずっと笑っていよう?
PR
Submit Comment
(07/23)
(05/06)
(11/06)
(10/30)
(08/08)
HN:
空華
性別:
女性